花きや観葉植物の「日陰植物(シェードプランツ)の湿度・環境管理」の知見とも深くリンクする、原木しいたけ栽培を成功させるプロのテクニックです。
1.「仮伏せ(かりぶせ)」での保湿:最初の数ヶ月だけ『過保護』にする
春(2月〜3月)に原木にドリルで穴を開け、しいたけの菌(種駒:たねごま)をハンマーで打ち込んだら、すぐに雑木林に並べてはいけません。まだ菌が眠っているため、春の乾燥で材木が乾くと菌が死んでしまいます。
・実践: 菌を植えた原木を、地面に直接低く枕木のように積み重ねます(これを『仮伏せ』と呼びます)。その上から近くの古い落ち葉や、目の詰まった遮光ネットを厚く被せ、地面からの湿気をブロック内に閉じ込めます。この最初の数ヶ月間、原木を「適度な温もりと高い湿度」に保ってあげることで、しいたけの菌糸が木の奥深くへと力強く蔓延していきます。
2.「本伏せ(ほんぶせ)」の天地返し:地球の重力と水分を均一にする
梅雨が明ける頃には菌がしっかりと回るため、原木を斜めに立てかける「本伏せ」のステージに移行します。
・実践: ホダ木(原木)を並べる場所は、「風通しが良く、かつ地面がしっとりしている雑木林の北向き、または東向きの斜面」がベストです。そして、半年に一度(春と秋)、ホダ木の上下・裏表をひっくり返す「天地返し」を行います。水分は重力で下に溜まりやすいため、ひっくり返すことで木の中の水分バランスが均一になり、キノコの芽数が爆発的に増えるとともに、原木の寿命(発生年数)が大幅に伸びます。
3.「浸水(しんすい)ハック」による、発生タイミングの完全コントロール
自然の雨だけでも秋と春になれば生えてきますが、「週末に里山に行くから、そのタイミングで一気に収穫したい」という場合は、意図的に発生をコントロールできます。
・実践: キノコを生えさせたい日の約1週間〜10日前、ホダ木を近くの沢の水や、大きめのドラム缶に溜めた水の中に「丸1日(24時間)ドブ漬け」にします(浸水処理)。水から引き揚げて元の場所に立てかけておくと、水分を吸ったホダ木は「雨が降った!」と勘違いし、生存本能が一気に作動。狙った週末に、肉厚でツヤツヤのしいたけが狙い通りに一斉に顔を出してくれます。
秋の雑木林、落ち葉の香りが漂う中で収穫するもぎたての原木しいたけ。炭火でじっくり焼き、カサの裏側にジュワッと汗(水分)が浮き出てきたところに醤油を一垂らしして頬張る。これこそが、関東の野山を手に入れた人だけが味わえる、最高峰の自家消費の悦びです。
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