花きや観葉植物の「耐寒性低木・高木の冬越しと害虫管理」の知識ともリンクする、野山ならではのユズ栽培の専門的なコツを解説します。
1.「接ぎ木苗(つぎきなえ)の選定」:『桃栗三年柿八年、柚子の大馬鹿十八年』をハックする
「ユズは実がなるまでに15〜18年もかかる」という有名なことわざがありますが、これは種から育てた(実生:みしょう)場合の話です。
・実践: 野山に植える際は、必ず信頼できるナーセリー(苗木屋)から、カラタチの根に接ぎ木された「接ぎ木3年苗」
を購入して植え付けます。接ぎ木苗を使うことで、野山に植えてからわずか3〜4年で最初の収穫を迎えることが可能になります。また、カラタチの強靭な根の力を借りることで、野山の野生的な土壌でも病気に負けず力強く根を張ることができます。
2.「カミキリムシ(テッポウムシ)の物理防御」
ユズ栽培における最大の天敵は、幹の根元に卵を産み付け、幼虫が木の中を食い荒らす「ゴマダラカミキリ」です。放置すると大木でも一晩で立ち枯れてしまいます。
・実践: 薬剤に頼らない野山栽培では、幹の地面から高さ30cmほどの部分(特に接ぎ木の結合部あたり)に、市販のメッシュ状のステンレスネットや、専用の防虫不織布をあらかじめ巻き付けておきます。成虫が幹に直接触れて卵を産み付けるのを物理的にシャットアウトする。この最初のひと手間で、木が枯れるリスクの9割を未然に防ぐことができます。
3. 「林床の刈り草マルチ」による、引き算の施肥(せひ)管理
一般的な果樹園では化学肥料を年に何度も撒きますが、野山では周囲の自然の循環を利用します。
・実践: 夏の間にユズの周囲に生えてきた雑草を刈り取ったら、それを遠くに捨てず、すべてユズの株元(枝が広がっている下の地面)にドーナツ状に敷き詰めます。これが腐って天然のカリウムやチッソ肥料となり、同時に土の乾燥を防ぎます。さらに、秋に山の木々から降ってくる落ち葉が重なることで、肥料を一切買い直さなくても、毎年大きな実を実らせる豊かな土壌サイクルが自動で出来上がります。
初冬の青空に映えるツヤツヤとした黄金色の果実。手袋をしてトゲを避けながら収穫し、その日の夜に採れたての皮を刻んで湯豆腐にのせる。市販のユズとは比較にならないフレッシュな香りが、関東の里山暮らしの豊かさを教えてくれます。
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