カレー、肉じゃが、サラダなど、あらゆる料理のベースとなる人参を、野山の林床(雑木林の地面)のポテンシャルを使って完全放置で育てるモデルです。人参は「発芽さえすれば8割成功」と言われるほど、最初の種まき直後の水分管理が難しく、平地では芽が出るまで毎日畑に通って水を撒き続けなければなりません。このモデルでは、「毎日の水やり労働を山の天然の湿度インフラに丸投げし、えぐみが一切なく、人参本来の強い香りと芯まで真っ赤な極上の人参を、完全な引き算で自給する」という、持続可能なスローフードライフを実現します。
人参の種は「光発芽種子(ひかりはつがしゅし)」と呼ばれ、発芽するために太陽の光(紫外線)を必要とするため、土を厚く被せることができません。しかし、平地の畑で土を薄く被せるだけだと、夏の強い日差しであっという間に種がカラカラに乾いて死んでしまいます。関東の里山にある「落葉広葉樹林の林床(木漏れ日が届く地面)」は、人参にとってこれ以上ない楽園です。木々の枝葉が直射日光を適度に和らげつつ、発芽に必要な優しい紫外線(光)は地面まで届けてくれます。さらに、地面は何年もかけて降り積もったフカフカの腐葉土層で覆われているため、雨が降らなくても常にしっとりとした天然の「保水インフラ」が維持されており、人間が水を1滴も運ばなくても、種の乾燥を防いで確実に発芽を完了させます。
・「土は耕さず、棒で穴を開ける “縦穴(たてあな)点植え” 」: 大根と同様に、土をクワで耕すと斜面が崩れたり、土の中の硬い層にぶつかって人参が二股に分かれてしまいます。土は耕さず、太さ3cmほどの尖った木の棒を地面にズドンと深さ20cmほど突き刺して「縦の空洞」を作ります。その穴の中に、野山の完熟したフカフカの腐葉土をサラサラと流し込み、てっぺんに種を3粒落として、古い落ち葉を薄く1枚被せておきます。人参の根はこの「抵抗ゼロの縦穴」に沿って、驚くほど真っ直ぐ、深く、美しく吸い込まれるように伸びていきます。
・キアゲハの幼虫を「野生のセリ」へ誘導するカモフラージュ: セリ科である人参には、キアゲハの幼虫(緑と黒のシマシマのイモムシ)がやってきて葉を食べ尽くすリスクがあります。しかし、関東の野山(特に沢沿いや湿った日陰)には、人参の親戚である「野生のセリ」や「ミツバ」が無数に自生しています。人参の周囲にあえてこれらの野生のセリ科植物を少し残しておくことで、キアゲハの成虫はどれが人参か分からなくなり、あるいは野生種の方に分散して卵を産み落とすため、栽培している人参の葉が丸裸にされる致命的な食害を、生態系の多様性(カモフラージュ)によって完璧に防ぎます。
高齢化の影響で、農業は就業者数こそ減少しているものの、食糧生産という重要性の高い事業であることから、そのニーズが衰えることはありません。農業ビジネスは、農業や農業に関わる周辺ビジネス全般を指す言葉です。農業といえば種を蒔き手塩にかけた作物を収穫するイメージが強いですが、ビジネスとして考える場合、必ずしも作物を育てて収穫することだけが農業ビジネスというわけではありません。加工して販売するのも、農業体験をあっせんするのも農業に含まれます。採れたて野菜ジュースや無農薬野菜でアイスクリームを加工販売するのも農業に含まれます。観葉植物の生産販売も、昆虫やミミズの養殖も農業に当たります。育てた竹を加工してコップやキャンドルに加工して販売するのも農業です。ヤギを飼ってヤギのミルクが飲める観光農園を運営するのだって、ダチョウを飼ってダチョウの目玉焼きを提供するのも農業です。農業ビジネスは、地方創生や都心部からの脱却といった近年のトレンドに合わせて、注目度が高まっている事業形態です。場所選びを上手にやれば、作物をブランド化することにより差別化を図る事も可能です。無農薬で育てたレア食材を販売したり、ブランド化して少量生産するのも勝算があるでしょう。就農していきなり一本立ちするのは少々敷居が高いですが、都心近郊でサイドビジネスとして始めてみるのなら、リスクも最小限に抑えられます。農協を通して安く販売するのではなく、直販サイトを制作したり、ヤフオクやメルカリなどのショッピングサイトで販売することで希少価値を保ちながら消費者に対して直販することができます。フリーマーケットならユーザーの意見を直接聞くこともできます。ネット上で自分自身で【半農半X】で始めるなら、負担なく自分自身の可能性に挑戦することができます。発想次第で楽しみながら自分らしいライフスタイルを実現することができます。